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遠距離M女ですが、何か?
井原りり
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降水確率 高い!
着物、しかも新品、しかもお召し。
いっくらスコッチガードしてあったって、無理ですな。
じゃあ、何を着て行こう?
2002年10月19日(土)
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東京だよ、おっかさん。
降水確率の高さにびびって、新調したお召しでの外出はあきらめたが、結局、パーティの会場から、新宿駅までは地下道をたどっていけばたどりつけてしまい、傘を一度も広げることなく帰宅。
なんだかがっかり。
去年、このパーティに集まった時、渋いこげ茶の着物に男物のような細帯を粋に締めて、ちょいと足元がご不自由なのか、杖をついて歩いてらした年配の女性は木版画の先生であられたよし。
なあるほど、今回も着物と同じ生地で羽織風の(でも襟の折り返しがない)上着をはおってお召し物は渋いのに、髪は緑色に輝いてて、目立つめだつ。
ああいうばばあになるのも、いいかもしれんな。
年寄り中心の会合は一次会で切り上げ、高層ビルの29Fへ……。
官能ネットのkakoちゃん
たちと飲んだ。
そそる画像もあります。
2002年10月20日(日)
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骨の髄までMなりき
新宿で恋する女が三人寄れば……。
「どうしてそんなに言われた通りにできるの? 言いたいこととか、悔しくなっちゃうこととかないの?」
Mrs.秋葉が憤慨していう。
いはらから「嫉妬しちゃだめ」っていわれて、あたしが「はい」っていっちゃうこと自体がもう納得できないことだらけだっていうんだ。
百歩譲って、そういうのがS男特有の深謀遠慮だとしても、全然理解できないという。
「だってフツー、女はそこで嫉妬するでしょう? しないわけないでしょう? あたしにはそんなことできないって話にはならないわけ?」
「ならないよ」
「……」
官能ネットのkako嬢
はMっ気ありだから、うふふと笑う。
「だーりんに言われる事は絶対服従だよねん」
いはらは、だーりんじゃあないんですけど……。ま、いいです。
うん、言うこときかないわけにはいかない。
自分の主義主張より、いはらの意思は優先されてしまうのだ。
なぜなんだろう?
うんもすんもない。反射的に「はい」って返事して、納得してる。
見かけ上のあたしは威張ってて偉そうだ。
職場のオトコたちも、お伺いを立てこそすれ、誰もあたしに命令しない。
いはらと夫だけがあたしに命令する。
命令されるのはうれしい。
だから、いうことをきく。
命令に従うこともうれしい。
そうして気持ちいい。
どいつもこいつもわかっちゃいねえんだから、ほんとにあたしのことわかってくれてたら、それだけで感謝。
感謝してる以上は、いうこと聞くのは当然じゃんか。
2002年10月21日(月)
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身もココロも
お月さんが西から昇ったって、できない、と思うことってある。
どんなに好きな人があらわれ、とことんココロを奪われようとも、あたしはカラダまでそのひとのそばにはいけない。
身もココロも常にたった一人だけに所有されているのなら、それはそれでどんなに甘美なことであろうか。
だがしかし、出会いには時間のずれがある。
時間差をおいて二人の人に出会った、ここまでは同じだ。
それぞれと共有する人生に折り合いをつけられるあたしと、つけられない彼女がいる。
Mrs.秋葉は彼女なりのスジを通し、あたしはあたしで、あたしなりにスジを通して生きている。
あたしたちは、お互いの感じ方、生き方を「出来ない、理解できない、信じられない」と評しあうが、相手を批判はしない。
自分にはこれしかできないってわかっていて、相手がやったようにはできないからだ。
Mrs.秋葉はあたしのことを「不思議なバランス感覚がある」といつも評してくれるが、ひょっとしたらあたしはオトコに限らず、仕事や表現分野、世間との付き合い、すべてに DUAL MODE で自分を制御してないか?
親にも家族にも見せていない、見せられない、見せたくないあたしのB面。
あたしのB面は深く暗い。
そしてかなりの重さがある。
彼女にはC/WはあってもB面がない、とはいわないが、親も家族も知らない領域の範囲は狭いんじゃないか?
隠しファイルってとこかもしれない。
どこかをクリックしれば画面には出せるはず。まあ、開けないだろうけど。
あたしはアナログのレコードで、彼女はCDだ。
2002年10月22日(火)
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肌を見せる悦び
スタバのコーヒーを飲みながら青山ブックセンターで立ち読みならぬ座り読みまでできるなんて、東京は違うやねん。
で、官能ネットのkako嬢のあの日の装いは思わず息を呑む真っ赤なミニスカに、ブーツ。
インナーには黒のベアバックセーター。
ベアバックつったらあれよ。金太郎の腹かけみたく、背中全部見えてるわけだし、当然ブラジャーなんてつけてたら、無粋というものぞ。
じゅるっとよだれが出そうな肩とわくわくの脇。
ミニスカもごっくん、です。
2002年10月23日(水)
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じゅるっと、下腹部が……
女三人噺濃い恋談義 その弐
「ねえ、自分のM性を自覚したのはいつごろなの?」と質問されたが、しばらくぽか~んとしてしまった。
質問の意味を考える時間が必要だった。
そうだ。Mrs.秋葉と今はむかしのパソ通のフォーラムで知り合ったころ、あたしはただの恋するおばはんだった。
そんでもって、SMだとか、拘束だとか、服従だなんてまるで範疇外の位置にいたんだ。
彼女が不思議に思って、ついに今夜、意を決して質問をぶつけてきたんだってことを理解するのに、さんまの塩焼きと大根おろしをそれぞれ半分消化するくらいの時間が……。
「そんなの、ちっちゃなころからだよ。ままごとやったり、お姫様ごっこしてる時にさ、お姫様になってさらわれて縛られたいって、いつも思ってた」
「それは女の子なら、みんなそうよ」
ほげ? そうだったのか。
じゃ、なんていおう。
いやね、なんつか、その。
子どもながらに、じゅるっとね、下腹部が興奮したって自覚があるわけですよ。
ああ、恥ずかしや。
2002年10月24日(木)
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Mだからって何?
女三人噺濃い恋談義 その参
昨日分の日記への補足。
つまりその~、異性との交流において、ノーマルからアブノーマルへの移行にあたり、自分自身の中身には全然変化はないと思っているから、すごく言いにくそうに質問されたわりに答えの方はあっさりしたものだったわけ。
最初から……、うー、なんていおう。
処女だったころから自分が「ノーマルなままで一生終わるわけないじゃん」っていうのは思ってた。
だからカラダの関係ができて、ちょっと興が乗れば「縛ってみて」みたいなことは言った覚えはある。
いや、そういう相手はむしろ一夜限りの関係の奴が多かったかも……。
今はむかしなんで覚えてない。
普通に恋愛して、普通に性行為して、当たり前のように縛ってもらってれば、興奮してたはず。
精神的に服従しちゃうとかっていうのは考えず、性行為の一環として縛ってもらえりゃあ、よかったんだ。
「その~、SMの世界に入るについてすごく勇気がいったとか、怖さやおそれがあったというのはないの?」
「ないね」
これはもう全然ないです。胸張って言っちゃう。
だって行くべき場所に移動するだけだったんだもん。
「ただね。SMとの出会いは都会でないとありえないと思い込んでたんだよ。あたしゃ田舎もんだから」
ところが検索してみるとうちの近所ってば、あふれんばかりの変態の溜まり場だった。
ああ、こりゃこりゃ、すっとこどっこい。
やろうと思えばすぐできるって環境にいるのに気付かないってこともあるのねん。
ああ、でもなあ。思い出すよ。
まだ駆け出しだったころは、一般的な恋愛との混同が激しくて、不安定で、揺れてばかりだった。
相手の未熟さばかりを責めるわけにはいかないが、こころの中まで縛られてなかったことへの漠然とした不安。
ただの不倫や浮気と全然違わないことへの不満。
それから、これはあたしの持論なので以前にも書いたことがあり、自分のを読む限りはさほどではないが、よそのオンナからことさら自慢げに標榜されると、カチンときてしまうんだが……。
その原因は、M女同士の近親憎悪のなせるわざなのでごぜーますだ。
もったいつけてすんまそん。
持論ってなにかっていうと、あたしは「Mになったんじゃなくって、もともとMだった」からそれを表に出してるだけってこと。
2002年10月25日(金)
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