遠距離M女ですが、何か?

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薄物:うすもの
2002年7月1日(月) 雨

このたび、いはらの街に出向くにあたり、着物持参っていうのを企画してみた。
大仰なことはさけて、軽く、彩りの一つとして。

だから帯だって半幅だけで浴衣みたいに文庫か片流しで、帯締めも帯揚げもしない。

今日から7月、うすものでもいいんだろうか?

まだ梅雨はあけていないのに、透けるきものいいんだろうか。
 
とは思うものの、意中の一枚はもう決定済。
黒地に更紗風の柄、紗ほど上質ではないはずで、でも透ける。

多少早くても、季節の先取りがきものの粋の基本。

透ける着物と透けない着物の差は大きい。

奴隷の烙印
2002年7月6日(土) 雨

篆刻印ですが


七夕
2002年7月8日(月)

七夕よりもっと間隔があいてしまったが、いはらの街に行ってきた。

ここに書くのがもったいないような2日間。
28時間。

S市の大きな本屋で『たまもの』(神蔵美子、筑摩書房、\2800)を買って帰る。

復路便の中でページを開き、ぽろぽろ泣いてしまう。

こういう本が出てますが、と星屋からメールが届き、ふう〜んと思いながら『噂の真相』のバックナンバーをあさった。

二人の男が末井昭と坪内祐三だと知った時はちょっと言葉がなかった。

有名人だものな、あたしなんかとはレベルが違うが……。

二人の人を愛することは確かに罪だろうが、いまさら引き返せないところにあたしはいる。

二人とも幸せになってもらわなくちゃならない。

まわりの人を不幸にする生き方を、わたしはしない。

空景
2002年7月8日(月) 曇り/晴れ

朝のうちの曇り空が、いつのまにやら梅雨明けのような空にかわった。




定位置
2002年7月10日(水) 雨

確かに「おかえり」と聞こえた。
くっつけあった頭の向こうから聞こえたのはささやくような小さな声だった。

え? 今、なんて? おかえり?

あ、そうか。わたしは戻って来たんだ、このひとのふところの中へ。

ここが、あたしの定位置だ。




 ただいま




そうして、あたしたちはぴったりと隙間なく抱き合ったまましばらくじっとしていた。


** * **


翌日あたしは「行ってきます」と言って搭乗口に向かった。

いはらはゆらゆらと手を振りながら、きびすを返して去った。

後ろ姿を見送られるより、さっぱりしててよかった。

台風一過
2002年7月11日(木) 晴れ



しかもその台風はいはらの町の方へ行った。


これもまた一つの幸福
2002年7月12日(金) 晴れ



SONY PCG-U1&TWO DOGS& ……。

TWO DOGS
2002年7月12日(金) 晴れ

飲み物の TWO DOGS はもちろん好きだが、画像に載ってるわんこたちについては下記の今年3月の日記を参照されたし。

ぬいけもの連盟

眼ニテ云フ
2002年7月13日(土) 雨

あたしは「犬」なので、飼い主にアタマをなでなでされるのは無上の歓び。

先に着いたのはあたしの方、いはらは仕事ひとつ済ませてから来るとかで、1時間くらいロビーでモバイルいじりながら待った。

メールだ。
「着いたよ。国内線の2階」
やっと空港に着いたのにあたしを探さない、いはら。

ええい! いったい、どこさ?

人待ち顔の人なんて、どこにもいないじゃんか。

ほんとに、いったい、もお、どこいるよ。

わざとかしらんが、こちらに背を向けて、携帯めるをチェックしているオトコがいるが、まさかな?
そのオトコは定年退職して今は浄土宗の住職をしてるあたしの元同僚と背格好がほぼ同じで……。

そうこうするうち、「坊主なのだ」というメール。

やっぱり、あの住職じゃん。

あたしは住職に近づいて下から見上げた。

いはらだった。

いはらはやっとあたしに気付いてくれて、頭に手をのせてぐりぐりした。



やっとあえたよ。

やばい。どうしよう。
こんなに気持ちがあふれてきてるのに、なんて言おう。

いえない。

そんなんじゃない。

すきだとか、あいしてるとか、そういうたぐいのことばじゃないんだ。そんなのちがう。あたしのきもちはそういういいかたじゃつたわらない!

どうしよう、やばいよ。こまったよ。いえないよ、そんなこと。



いはらとあたしの結びつきを思うとき、なんだかかなしい気持ちになる。

なにがどうかなしいってわけじゃないんだ。ただ泣きたくなってしまう。
泣きたくなるが、今回は泣かないだろうと思った。
先回わんわん泣きすぎたせいだ。

どうして泣きたくなるのかわからない。

ただ感極まってるだけなんだろうけど……。
どうしようもなくあふれてくる気持ち。

まあ、辞書を引けば、むかしの人は「いとし」と同義で「かなし」というコトバも使っていたことがわかる。
ちなみにどちらも「愛し」と書く。

高校で習ったあの伊勢物語の筒井筒「(妻を)限りなくかなしと思ひて、河内(の浮気相手のところ)へもいかずなりにけり」ってやつだ。



いつだったか書いた詩の中で、そのころ好きだったオトコの子について 「 こみあげてくるいとおしさ 」 という言い回しを使ったことがある。

同じ表現を違う相手に使うのはいやだ。
これはもう使えない。

でも思うよ、こみあげてくるんだ、確かに、あふれるほどのいとおしさってやつが。



ことばではいえない気持ちを伝えるには本気で犬になっちゃうしかない。飼い主あっての犬だからって、すがるような気持ち。


犬にことばはない。目で伝えるしかない。

犬の目はうるうると濡れてて、なぜかいつもちょっと哀しげだ。

いぬいぬいぬいぬ、あたしは犬。

あたしは、飼い主を必死で見上げる犬の目でいはらの眼の奥に語りかけた。

アタマをなでる飼い主@いはらの眼差しも、なんだか少し哀しげだった。


二人ともこんなにかなしい気持ちになるなんて、あたしたちはなんて業が深いんだろうって思った。


「愛」は苦手
2002年7月14日(日)

「愛」という字が苦手だ。

あたしもいはらも仏教徒だという自覚が強くあるから、というわけでもないだろうが、「愛」について語ったことがあまりない。

「愛」は聖書だとか神のものという気がして、なんだかバタくさくって、あたしにとっては使いづらいことばの筆頭に上がるのだ。

だから菅原文太@湯屋の釜じいが、あのだみ声で
  「愛じゃよ」
と言ったときにはぶっ飛んだし「愛子さま」にもたまげた。

をいをい、そう来たか! って感じだった。


それはさておき、じゃあ、代わりに何を使うか。

いはらと交わした最初の会話で、彼は「情」というコトバを使った。

「おぬし、できるな」というのが彼に対するわたしの第一印象だ。

「慈悲」「慈愛」の「慈」っていうのも、いいんでないかい、とこのごろ思う。
ただ視覚的にはいいんだが、聴覚的にはわかりにくすぎるし、いちいち説明しなきゃならん。

説明抜きで理解する人だったら、迷わず「おぬし、できるな」だ。

慈悲っていうのは、あまりにも抹香くさいとお考えか?

浅いね。深い意味を汲んでほしいものだ。

人は神にはなれないが、仏にはなれるのだし、それにあたしはバターの匂いより線香の匂いのほうが好きなんで別にかまわん。


** * **


でも、 「 aiko 」 は別っす。



「愛」と「 i 」
2002年7月15日(月)

それでも、前世紀終末、なんでもかんでも「愛」と「 i 」で、すませてきたのではないか? >日本人。

うちにも i MAC あるさ。
携帯電話は i - modeじゃないけど。

愛は「あいうえお」の「あい」だし、なんていい響きだろうと思う。
「LOVE」じゃだめだ。まだ「愛」のほうがいい。

pill
2002年7月19日(金) 晴れ/曇り

あなたをなまのまま

まるごとのみこんで

あなたのすべてを

たっぷりとうけいれることを

あたしのからだがのぞむから

ただそれだけの

ありがたいおくすり


奴隷の烙印/2
2002年7月19日(金)



「井原璃梨」という名前をいはらにもらった。

いはらはその名前の篆刻印をはんこやに頼み、去年のクリスマスにあたしに与えた。

一昨年は「かたちに残るコトバはまだ早い」と云っていた、いはら。

名前をかたちにして、わたしに与え、わたしのカラダに押し付けた。

朱泥の朱は血の色だ。

再掲。





名前を支配することは、その人間のすべてを支配することだ、とは、去年の大ヒットアニメによって、この世界の住人じゃなくたって、みんなが知るところとなった。

わたしは、何度生まれ変わってもいはらに出会う、生きてても死んでもいはらのものでいるのだ。




浴衣
2002年7月22日(月)

週末、浴衣ででかけた。



下の写真、レンズの位置のせいで少しゆがんでない?



隣の県のライブハウスまで新幹線に乗って行く。

あは、田舎だ……。

駅で反対方向の電車に乗る浴衣のお嬢さんを発見。
七月の土曜日、どこぞの花火大会か。

今日は新しい津軽塗りの下駄をおろした。
舞妓さんのぽっくりみたいなカタチ。
鼻緒は深緑にベージュのとんぼ柄の印伝。



知り合いのライブだったので、徹夜の打ち上げにも出て朝6:40発の新幹線で帰宅。

浴衣・2
2002年7月22日(月)

ライブ会場は遠くて、スタッフの人にクルマで駅まで迎えに来てもらったのだが

「え〜と、駅前に着きましたが、今、どちらですか?」という電話を至近距離つか、わたしの目の前でかけているドライバー氏を発見。

いはく「浴衣着てる人ならすぐ見つかると思ったんだけど、彼女の着てるのが浴衣に見えなかったんだ」

「浴衣ってもっと色とか派手でしょ? これ、きものみたいじゃん」
だそうで……。

ま、そういう着方も時には、する。
絞りなので、木綿の着物として下に襦袢を着て、半襟を見せればよい。

で、浴衣はもちろんのこと、夏物に半幅帯の時はいつも帯板を入れないのだが (だって、暑いじゃん!) 写真で見ても脇にちょっと、しわが寄りすぎているのがわかる。

カッコ悪いな。
かといって帯板はやだにゃ。

最近はやりのシャキっとした化繊の兵児帯で、リボン結びなんてのもやってみたい。



お気に入りの金魚の帯揚げをしたわけは、前の晩に実家で練習していたら母が
「帯揚げしたら? なんだかほどけそうで心配だ」
というのだ。

ほどけそうって、どこがだよ? 
こんなにきっちり蝶々の羽根4枚の文庫にしたのに……。

と思ったが、帯揚げって小物は大好きなので、そのご意見もらった! って感じ。

羽根の要のところをくるくる巻く時に、奥に帯揚げも入れて一緒に巻き、前に回してきちんと結んだ。

帯は一応後ろでひと結びしたし、帯揚げは前できっちり結んだわけだ。

これで万全の構え。
どっからでも、かかってこい!
受けて立とうぞ。



思うに、帯揚げってぜいたくだ。

帯の上からちらっとしかのぞいてないのに、着姿を前から見た時、一番最初に目が行ってしまう。

オトナになるほど見せる部分の面積が減っていく。
それに反比例して色気は増す。

そのわずかばかりのオトナの「ちらっ」のために、金魚の柄なんてほんのちょっとしか見えないのに、\15,000.も奮発してしまったさ。

でも、今まで帯揚げなんてただのおしゃれな飾りだと思っていたけど、ほんとに帯がずりずりと下がらぬように、きっちり胸の下に締めて「帯を上げ」る役目を果たしてるんだなあって納得した。

昔からのモノには、それぞれ存在理由というものがある。

夏は金魚
2002年7月23日(火) 晴れ



生地は正絹の絽。

色はおそらくこういう色を「浅葱色:あさぎいろ」というのではないか。
よく古典には出てくるが、確証はない。

無印良品
2002年7月24日(水) 晴れ

うれしはずかし、遠隔ペアルック。

日本の地方都市は郷土料理をのぞくと、どんどん均質化が進んでいる。

いはらの町とわたしの町はどちらも田舎の県庁所在地からほぼ40~50km離れているのだが、同じ店があって同じモノがちゃんと手に入る。

いはらがあの日着ていたのと同じTシャツを見つけた。

どうしても同じモノが着たい。

ぺんてる静電気除去青色LEDキーホルダー@すぐれもの は色違いでいいのだが、今回は色違いってのは、やだった。



犬の日常
2002年7月25日(木) 晴れ


どっからみたって

ねこそのものの

あたしのなかみがじつは

しょうしんしょうめいいぬだって

みぬけないひととつきあってるひまはない




ひさしぶりに乗ったバスは

窓がひろくてあかるい

正面のガラスごしに

高架を走る赤い電車を見る

あたしのよこにあなたはいない




いぬにはわかる

においでわかる

このひとはあたしにふさわしいかどうか

あたしはこのひとにふさわしいかどうか

あなたがおもうよりずっと

あたしはあなたをこうしておもう

あたしのよこにあなたがいなくても




湿った風が雨が近いと知らせる

雨の降る日はあなたのアタマがうずくという

あたしは見えない舌であなたを舐める




いたいの

いたいの

とんでいきますように

あなたのそばにはいられなくても

いたいの

いたいの

きえてなくなりませ




犬にはきちんと命令を下すべきだ

機嫌を取ったりしてはならない

威厳と気品ある態度で

おまえは犬だと明言せよ




ちゅうじつないぬは

わがままなねこをかぶり

にんげんのそぶりで

ひがさをさしてあるく




だれもほんとのあたしにきづかない

あなたをのぞいては

だれひとりとして




犬の日常 2
2002年7月26日(金)

あなたにあえるひをまちつづける

あたしのかみはもうこんなにながい

このながいかみは

いぬのあたしの

みえないしっぽ




あなたをみかけたら

かけよって

ふりまわすための

ちゅうじつさのあかし




あなたにあえないふゆのひ

あなたにあえないあめのひ

あなたにあえないたいふうのひ




かみをあんできつくしばる




あなたにあえるひをまちつづけて

あたしのへやは

あなたがにおう

あなたのにおいにだかれて

あたしはねむる





あなたはあたしのながいかみであそぶ

くびをしめたり

きつくしばったり




そうしてあきてしまったら

あなたにかみをきってもらう




ぷっつんと

みじかく

ざくざくと

はさみで




ばらばらとゆぶねにひろがる

あたしのかみ




こんどいつかまた

あなたにあうひのために

あたしのかみは

いまこんなにながい




diet blues
2002年7月27日(土)

過去の日記を読むと、ダイエットの話題がばんばん出てくる。

いはらに会う前、わたしは59kg前後だった。
調子がよければ58kgだったし、悪ければ60kgいってたとか、そういう感じ。

若いころから、だいたいそのへんの体重域にいて、産前産後で体型が変わったわけでもないし、デパートに行けば別に11号が着れるし、危機感もなく過ごしていた。

反対にいまさら、ダイエットしたら、あちこちに皺が寄ってチャーミングじゃなくなっちゃうって思ってた。

で、2年後。

今のわたしは調子がよければ51kg、悪いと52kgというところまで来た。
ちゃんと体脂肪を落とした。
体脂肪率はひどい時は32%もあったのに、今じゃあ23%さ! (朝起きてすぐ測ると、27%くらいだったりするけど……)

今回、何に驚いたって、いはらもやせてたのにはびっくりした。
10kgやせたんだそうです。

お昼ごはんも自宅へ帰って食べるようになって、いろいろと食生活が違うとこんなにすいすいっと体重が落ちるものなんでしょうか?

参りました>師匠。

「ほんとにやせたね」

「キレイになったよ」

「よかったね、やせて」

何度も言ってもらった。
それはそれでうれしかった。

でも、いはらの背中に腕をまわすと
「わー、細くなってる!」ってわたしのほうが何倍も驚いている。

まだまだ先は長い。



遠距離M女ですが、何か?

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