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深い海の底にて……2001/9
feel H"
最初は携帯電話を持っていなくてPHSだけ持っていた。2台目がいかれたところでIDO@当時 の携帯。auになって電話機も3台目。
去年の春、いはらとの交信の道具としてH"導入。これが、やっとこさ4000ポイントたまってfeelH"にグレードアップ。
もうPHSなどと云っては申し訳ないほど機能満載。今のところマニュアルを見ずに操作している。
流行りの歌をダウンロードしてSDカードで保存したり、別売りのプレイヤーを使えば携帯電話兼音楽プレイヤーにもなるのだが、実際のところ、そこまで使うか? やるのか?>自分キーボードザウルスユーザーとして、いつでもどこでもnet環境構築のためには心強い味方だ=H”。CFカード状のH”までは導入予定なし。3回線もいらないっしょ。
2:34 01/09/30 『九月の空』
中学校の体育大会がすみ、代休もすみ、1日置いた水曜日から長女はまた学校へ行きだした。
わたしらの同級生で長女の学校の事務職員をしている友人に今日、偶然会った。
「こないだ、ご主人を学校で見かけたわよ」と、言う。夫が担任に会いにいっていたとは……。
なにか作戦を腹に秘めているな、とは思っていた。そうか、やっぱりそうだったか。
そして、そのことをわたしにも本人にも黙っているところが、なんともはや、やつらしいというか、さすがだ。23:48 01/09/21 『九月の雨』
「九月だったら、会えるかもしれない」
そう言われていた。
今、家をあけるわけにはいかない。
そう思った。休日にわたしが不在であれば、誰かに小さな子どもの世話を押し付けていくことになる。今の状態で長女にそれを負わせることはできない。
九月のことをどうしましょう、などと相談してはならない。それではてんで、だめだめだ。
行かないのだと、行けないのだと、自分で意思表示せずにどうするよ。「たぶん次におうかがいするのは、来年になるように思います」
と言った。「そうだね。その問題が解決するまでは、こっちも逢うつもりないし……」
「どこの世界に子どもほっといて逢いに来るやついるよ」ほんとにまったくその通りだ。
だけどなあ、2ちゃんの不倫板とか読んでると、どこでもないこの現実の世界にあふれる鬼畜の多さにはあきれかえるばかりよ。
15:20 01/09/21 居場所
うちには子どもの個室などないので長女は姑の部屋で暮らしていた。
が、ここへきて、俄然、夫の部屋に居座ったまま一日中動かない。
姑が学校へ行けとうるさく起こすから、夫の部屋に避難したまま、ずっとその庇護下にある。最近、彼らは蜜月だ。お互い完全夜型の生活。
昼過ぎに夫は起き出して出勤する。その前に長女に声をかけて起こしていくようだ。
夫が深夜に帰宅し、そのまま二人で朝まで起きている。寝るのも同じベッドで眠る。「何か会話するの?」
「全然、なんも……」二人とも本よりTVが好きで、BSでCNNのニュースなんぞを見ているようだ。今はテロのニュースばかりだが、そのうちまた朝になればイチローの試合がある。
夫は口数は少ないし、口が悪い。こちらの発言を封じ込めるというか、何を言っても直接自分に関係のないことがらは、まともには聞いてはくれない。
だから今日はこんなことがあったとか、町でだれそれに会ってこんな話をしただとか、その手の話題は一切しなくなってしまった。例をあげると、わたしが風邪で寝込んだ時に「死んじゃえ」と言う。やさしい言葉は絶対にかけてくれない。
でも、炊事一切をやってくれ、なおかつわたしには特別メニューをこしらえてくれる。それでわたしは満足なのだ。もう口先だけのやさしさはいらない。コトバよりうまいメシだ。
大事なことだけ、きちんとおさえておけば家庭はまわっていくのだ。日常の会話が少なくても夫とわたしはお互いが相手に何を望んでいるかわかる。
自分の望みを実現するために、相手の望むように行動するだけのことだ。長女にとって父親は自分においしい食事を作って食べさせてくれるありがたい存在だ。みんなが寝静まった夜中に何を話すでもなく、二人だけで起きていることが今は大事なんだろう。
0:29 01/09/18 親バカ
今月の日記の下の方に書いた同級生は成功した勝ち組のひとりだが、わたしらは自分の卒業した高校に自分の子どもも通ってほしいと心のどこかで願っている。
死んだ同級生だって、半年間は自分と同じ高校に通う息子を眺めて幸せな気分をいくらかは味わったことだろう。そう、子どもを母校に入れられたら、みんなが感嘆してくれる。ひとまず勝ち組に入れる。
バッカみたいな田舎の話だが、なんかそんな気分が同級生の間に蔓延している。自分たちはそこそこの成績でなんとか入った高校があれよあれよと偏差値を上げ、今やもう超有名な進学校になっちまった。当時の自分の成績では到底合格はおぼつかないのだ。
だからこそ、息子や娘を通わせている同級生は胸を張ってる。ってか、ただ自慢したい。もしくは自分の人生まだまだ捨てたもんじゃないと、ほっとしている。どこの高校を卒業したかで、おおよその人物評価を下されてしまう田舎に住む田舎者らしい夢だがな。これは夫だって同じだ。
夫が長女に何を言ったか知らないが、彼女は5年生の時にはすでに、高校はあそこに入りたいなんて、われわれに宣言しちゃって、塾も自分で行くと決めて話をすすめてきた。
ちょっと、おいおいって感じだった。今からそんなに飛ばして燃料なくなったらどうすんだよってことだ。
中学校に行かないだなんて、まさか自分の子が。
そうは思っても、まあ、さほど慌てず、のんびりかまえているのは、毎日学校に通って先生に逆らわずにいい子にしていたとして、最高得点がオール5で45点、行かないとオール1=9点。
中学3年間で生徒を45〜9まで順番に並べてそれぞれの点数に見合った高校に送りこむところが中学だってことを、わたしが醒めた目で眺めたりするからだ。夫とひそひそ話をする。
「なんで行かないと思う?」
「運動会すんだら、行くだろう」
「は?」
「しょうがねえさ、体育きらいなんだから」
「そんなこと言ったって、もっとずうっと行かないかもしれないじゃん」「あいつはそんなバカじゃない。ちゃんと考えとる」
学校に行かないからといって人生が終わっちゃうわけじゃない。
ただちょっと行ける高校が減るだけのこと。うちの子だってバカじゃないんだから……。呪文みたいに何度も言ってみる。
だからちょっと休憩してるだけで、そのうち行動を起こすはずだって……。0:21 01/09/17 因果応報
夏休みの終盤に入り、長女は宿題がはかどらず、毎日いらいらしていた。
夏休みの宿題は自分で片付けるように小学校の頃から、まったくといっていいほど手伝ってやったことはない。ネットで検索したいことがあるという場合にPCの電源を入れ自由に使わせてやったくらい。夏休み最後の日曜の夜、いつもならクルマで塾まで送るのだが、わたしが外出先から戻れなかったため歩いていくように電話で指示して帰宅してみると、彼女は塾を無断欠席していた。がっかり。
でもって翌日の塾の模擬試験も休んだ。
ああ、ひょっとして9月になっても学校に行かないんじゃないか、と、この日から覚悟は出来ていた。わたしは仏教徒なので、子どもに何かあれば真っ先に原因は親にある! と思ってしまう。
親の因果が子に報い……。だ。誰もがうちの長女は「しっかりしたお嬢さん」だと言う。
お腹が空けば自分で冷蔵庫の中のものを使って食事を作って食べる。
言われなくても、雨が降ってくれば洗濯物を取りこんでくれる。
親の手がふさがっていれば小さな弟の面倒を見てくれる。
夫が不在な時、簡単な店番ができる。といっても客が来たら夫を携帯で呼び出すだけだが、姑の耳が聞こえない以上、最低この程度の店番はムスメにやってもらわねば困る。まあとにかくわたしのうんだ子なので少々アクの強い個性。クラス全体から幅広い支持を集めるということはないから生徒会役員や学級委員になることはないが、修学旅行やキャンプとかの判別行動の際には必ず班長にはなる。
われわれ夫婦は長女にはこれといってここを直してほしいというような不満はない。お互い別々の仕事があり、あれやこれややりたいことがあり、かまってやらなかった割に、うまく育ってくれたと自負している。
しかし「自負」しているのは親の側で、ムスメにはムスメの事情や不満があるのかもしれない。本人は「しっかりしたお嬢さん」を演じることに疲れてしまったんじゃないか。もっともっとよその子どものように甘ったれて親にかまってもらって宿題とかも手伝ってもらいたかったんじゃないか。しかし、今までだって夏休みの宿題はあったわけだし、手伝わないからねということは前から言ってある。宿題程度の問題がクリアできないでどうする。標準よりかなり高いハードルを越えてこそ、わたしの子だ、とも思っている。
わたしの仕事の関係もあり、中学校での不登校児とのネットワークがわたしにはある。
一般的な母親よりもこの問題に関しての耐性は出来ている。学校の先生と合わない。いじめ。中学生集団の人間関係についていけない。などなど彼らの言い分も一通り聞いてはいる。
本人の問題もあれば、親への不満をこうしたやり方で無言でぶつけてくる例もある。うちのムスメが宿題がやってないなどという理由で家の中に引きこもるだなんてことが、まさかあるだろうか。事態はもっと深刻じゃないのか。
「原因はおまえだよ! 裏切り者」ムスメの無言の背中がわたしを非難している。22:38 01/09/16 『九月には帰らない』
Yumingが「荒井由実」から結婚して「松任谷由実」になって最初に発表したアルバム【紅雀】の最初の曲がこの『九月には帰らない』。
九月になれば、誰もが避暑地を引き払ってそれぞれの現実の生活に戻って行くものなのに、あたしはこのままここにいて、もうみんなのところには帰らない。そういう感じの歌。
もう何年も毎年9月は、この25年くらい前のアルバムばかり聴いている。5年前の9月に父が他界した。
九月には帰らなかった父の骨 りり長女は9月になっても教室には帰らない。
22:25 01/09/16 映画館に行こう!
『千と千尋の神隠し』を見に行く。
長女を誘って行きたかったが、返事がない。
「行かないんだね」と念を押すと、うなづいたので置いていった。映画くらい見てもいいのに、なんでついてこない。外に出るのがいやなのか。
そういえば『もののけ姫』もこの子は見ないと行って、ついてこなかったから、そんなに気にしなくてもいいのか。『…ナウシカ』『…トトロ』はビデオでは見た。宮崎ものは嫌いじゃないはずだがな。『A.I』は見たいといっていたな。また誘ってみようか。夏休みのころには『A.I』を見たがっていたのを知っているから、行きたくないと言われるのが、少し怖い。
19:23 01/09/14 経過
夏休みの終盤、出校日の前夜に集金袋を持ってきたので必要金額を渡した。
が、翌日の朝になっても起きなかった。今までだとlong vacationがすめば、いやいやながらも夜型から朝型に移行して行ったのに、今回に関しては、いつまでたっても夜型のまま。
9月1日、行かないだろうな、と思っていたら、予想通り行かない。
わたしら夫婦もあえて「行け」とは言わない。うるさく「行け」と言えば、しぶしぶ行く、というような初期的段階はすっ飛ばして、誰に何と言われようが行きたくないから行かないでいる。
そういう子なのだ。
確信犯だ。
20:30 01/09/12 妄想家族
中1の長女が2学期に入っても依然として単独で夏休みを決行中だ。
いわゆる不登校になるのだろうか。
ここでは所帯じみた内容は極力さけて書くつもりだったが、他には書けない。
書いてもいいが、もしかして本人の目にふれる怖れのある場所には、どうしても書けない。「書いてもいい」というのはモノ書きとしての、わたしの身勝手な衝動であり、母親としてのわたしがそれを止める。
私小説作家の苦悩、というと何を偉そうに……、ということになろうが、気分としてはそれに近い。
書きたい気持ちより、書きたくない気持ちの方が、なんとなく上回っているので表の日記には書かずにこちらに書く。それに長女は、子どもを持たないと決めた「いはらの子」でもある。
初めて読まれる方のために少し説明すると、わたしの子どもたちの中で長女だけが実はいはらの子である、という架空の物語を、いはらは構築したのだ。
実際には、わたしが長女をうんだ頃、まだいはらは高校生で童貞だったのだが……。0:50 01/09/12 死と葬送
剣道部で眉毛のりりしい同級生の葬式は、それはそれは立派なものだった。
そりゃあまあ、そこそこの高校から国立T期工学部に入り、日本を代表する大企業のサラリーマンになったのだから、当然か。
それにしても知った顔がちらほら……。なんで*山▲子ちゃんのお母さんだとか、M野T夫くんのママまでいるんだ。
そうか、▲子の兄やT夫の姉と彼の息子が小学校中学校で同級生で、母親同士のつながりがあるのだな。なんで、うちの子どもの学校のPTA会長までいるんだ。
彼の奥さんという人は、いわゆる「お付き合い」が好きな女なのだな、ということが段々わかってきた。
それと、彼女はものすごく寂しがり屋さんなのだな。突然、夫を失って、とにかく参列者を大勢、集めたかったんだな。
で、あっちこっち電話をかけて、電話を受けたものも、彼女の意をくんで、また、あちこちに連絡したのだろう。ひどい言い方かもしれないが、「お気の毒な●◇さんの奥さん」を、思いっきり演じることで、突然の夫の不在を、ひとまずは忘れることができる。
帰宅して、参列者の多さ、知った顔が多かったことなどを夫に報告。
夫は彼のことをあまり好いてはいなかったので、夫には黙ってわたしは一人で葬式に行ったのだった。「ねえ、葬式、どうする? 友だち、たくさん来てもらいたい?」
もちろん、わたしが喪主を勤める夫の葬式のことだ。
「誰も呼ばんでいい。密葬だ」
予想通りの答えだなあ。
「市役所の*◎くんだけには電話しようか? あ、*◎くんに電話すると、あの人はいい人だから、みんなに連絡まわしてくれちゃうね」
「いらん。後で噂を聞いて、なんで教えてくれなかったんだって言われるくらいでちょうどいい」葬式の打ち合わせがすんでしまった。
わたしは夫の葬式を出す覚悟でいるのだ。死ぬまで、付き合うのだ。
だから、ピルくらいで深く疑わないでもらいたい。からだは裏切ってしまったが、関係までは裏切ってはいないのだから。2:28 01/09/08 疑惑
同級生が死んで、義理でしかたなく葬式に行くことにして黒い下着を着ていた。
出かける前に夫と、した。
死んだ同級生は剣道部でりりしくスマートであたしなんか口もきいたことはない。
だが、どうやら自殺みたいだ。同世代なのにもう奥さんは未亡人になっちゃって、ということは、もうこんなふうにえっちもできないってことなんだと思っていたら、夫が急に低い声でこう言う。
「今年、何人と寝た」
「は?」
「オレ以外に何人と寝たんだ?」
「そんなことするわけないじゃん」
「じゃあ、何でピル飲んでるんだ」
「だって、また子ども出来たら困るじゃん」
「そんなへまはせん! よそのやつとやってるんだろう」そういうふうに思っていたのか。妬いているのか。
そりゃあ確かにピルを飲むにあたっては、いはらの影響はある。だが、いはらが飲めといったのではない。処方してもらったのはあたし一人の意志だ。
それに、だったら、いはらに逢いに行く月だけ飲めばいい。なのに、毎月こうして飲んでいるのは、この先、夫婦で何回いたすのか知らないが、そのつど危険日かどうかを気にしながらするより、心置きなく中で出してもらうのも悪くないと思ったからだ。
人生の折り返しはもう過ぎている。初潮からの年月より閉経までの年月の方がはるかに短い。
14:30 01/09/01
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