[diary's index] [back] [next] [today]

DUAL LIFE ★ 2001/Apr.



田舎の画廊

その売れない絵描きのことは’99年暮れの日記にも書いた覚えがある。

のべ3人の妻に合計16人の子どもを産ませ、現在は2つの家庭を行き来している。

最初の妻はこの関係からはリタイヤしたわけだ。

この小さな田舎の画廊に初めて行ったのは’82年か’83年のこと。
白髪にべっこう眼鏡のオーナーは初めてさらした、あたしの太股を見てびっくり。

「あんた、ちゃんとスカートはいとる?」

ひらひらした黒いブラウスは着丈が長めで超ミニの裾まで隠れてしまっていたのだった。
ひらりっとブラウスをめくって見せると

「あら! ビニール?」 今度はあたしの隣に立っていた、画廊や美術館によくいるタイプのやせぎすな中年の奥さんの眼が、きらきら。
この人に会うのは初めてだな。

「あ、この人ね。女が好きなんですよ」

「いえ、あたしはね、ビニールが好きなのよ」

どっちも立派な変態だわ。
ご同慶のいたり。

22:21 01/04/27

コスチューム

黒いエナメル(ビニール)の超ミニをはいて、黒と蛇皮のコンビのピンヒールパンプスをはいて、首にはDAのチョーカーをして、長い髪を背中に流して、とある売れない絵描きの個展オープニングに行く途中だった。

嬉しい着信。
で、かけなおす。

わー、ひさびさ。

2:26 01/04/26

ん、もうっ!・2

こんなのも来た。

現在、弊社では、特に優れた作品を選び、その著者の方に、ご連絡を取らせて頂いております。井原様にも、私どもの、出版システムをご紹介し、是非ご利用いただければと、唐突ではありますが、ご連絡させて頂いた次第です。

つきましては、誠に僭越ではございますが、一度原稿を弊社にてじっくりと拝読させていただき、全国流通に向けての出版会議を持たせていただきたいと考えております。私どもは著者の方の意思を最大限尊重したシステムを採用しておりますので、費用面も含めて、井原様の意に添わないような出版を無理やりお勧めするようなことは致しませんので、ご安心ください。

現在、原稿を投稿されている井原様は、志の高い方であると確信しております。この機会に、私どものシステムをご利用いただき,全国規模でご著書を流通させ、ひとりでも多くの方にi井原様ご自身や作品を知っていただくことができれば、出版人として、これに勝る幸せはありません。

誠に恐縮ではございますが、近日中に、書き溜めている原稿を下記へ、お送りいただけないでしょうか。拝読さていただいた上で、感想所見を書面にて提示させて頂き、ご著書は必ず返却意致します。
ご多忙のところ、お手数ですが、何卒宜しくお願い申し上げます。

なんだかんだいっても自費出版じゃんねえ。

見ず知らずの出版社の人に、井原様は志が高いとかなんだとか、勝手に確信されるのは気持ち悪い。

ヤな感じだ。

3:24 01/04/21

ん、もうっ!

こんなのが来た。

突然のメールをお許しください。
このメールは、こちらで判断させて頂いた厳選優良メールマガジン発行者様向けに送信しております。
重複して届いた場合は申し訳ございませんが削除してください。

新しく携帯対応のめるまがを出さないか? というお誘いだ。

さっそく長文の規約にもきちんと眼を通し、いざ登録。

なにい?! NTTドコモのメールアドレスしか登録できないだと?!

先に言えよ。

2:23 01/04/19

コトバの奴隷

『詩学』4月号よりの転載。

<シリーズ>詩はなぜおもしろいか

オトコがチューリップの鉢植えをくれるという。
コトバではないものをくれる。
そういうことだよな?

花が枯れても、球根が腐っても、たぶん鉢だけは残るよ

そか。そうだな。
今までのあたしはいつだって、オトコからのコトバを待っていて、欲しがっていて、で、たいていのオトコはあたしみたいなやつにコトバを渡すことを警戒するから、勝手に意気消沈しちゃってた。

あたしが何よりもコトバを欲していることを承知の上で、このオトコはコトバではないものを送ってよこす。

そか、そか。そういうことなんだな。
それもあり、だよな。

田口ランディの『ミッドナイト・コール』(PHP研究所刊)のあとがきに出てくる、気持ちを伝え合う石文(いしぶみ)の話がいい。
立ち読みして、あとがきがよかったからつい一冊まるごと買ってしまった。

ん? どっかで同じ話を読んだぞ。

で、思い出してみる。

そうだ、あれは向田邦子の『父の詫び状』の中の名文「無口な手紙」の書き出しだ。
中学や高校の教科書にも載っている、妹の疎開にまつわる話。
この挿話がきっとランディのあとがきの出典だ。

人がまだ文字を持たなかったころ、まるいすべすべした石で、穏やかな気持ちを、ごつごつした石でささくれたこころを伝えた。

ほんとか嘘かはしらない。
ただ、コトバに頼りきっている今の自分に、こういう話は効く。 

なんで、コトバをそんなに欲しがるんだろう。嘘かもしれないのに……。嘘つくことなんて簡単なのに……。

コトバに依存してちゃ、ダメ。……、だよな。

だから、詩はなぜ面白いのか。と、聞かれても困惑するだけだ。

え? 詩っておもしろかったの?
おもしろくなんかないでしょうに。

詩はコトバだけで出来ている。
韻律もなければ、座も衆もない。およそコトバの遊戯を楽しむ要素を決定的に欠いている。

詩はツマラナイ。
一人で夜中にPCに向かってなにやらもそもそ打ち込んでいても、ちっともたのしくナイ。
ノートや紙切れに思いつきを書きなぐってもこころは晴れない。
どうせ夜中にPCに向かうなら、詩を書いたり、読んだりするより、いろんなサイトを見たり、チャットしてたりする方が楽しい。
自分のサイトの更新をはじめ、ネット上では他にもやらなきゃならないことや、やりたいことが多すぎるし、時間はどんどんどんどん足りなくなる。

もうあたしとネットは「ハマっている」という段階はとうに過ぎて生活の一部になってしまっているから、今さら詩と比べてどうこうじゃないんだけど。

実は別の名前で『携帯奴隷』というメールマガジンを出している。
携帯対応のめるまがなので、字数制限がある。i−modeが基準で、一回の配信で使用出来るのはわずか二五0字だ。
二五0字、一行に一0字として、二五行。
ささやかな恋の一コマを数秒で読めるカタチにして配信したら、部数はどこまで行くかな? という実験というか、自分にとっては表現修業のような試み。
今日現在、九八四部。

内容は、ない。こんなのだ。

いつかは来る魔物
* * *
できうれば

じゃなくて
ゼッタイに

あなたより先に
あたしは死にたい

そんなことを
今日はずうっと

かんがえていた。

********************

道具
* * *
インクの流れない万年
筆。
ちゃんと元通りになる
まで、あなたの名前を
何度も繰り返して書く。
白い紙の上に。
使えば使うほどに道具
は人の期待にこたえよ
うとする。
あたしも一つの道具。
あなたのためだけに存
在する、モノ。

改行したり、連をこさえたり、なんだかなあって思う。

結局、あたしは、詩のカタチから逃げられない。

わたしは詩を面白いと思ったことなんてないけど、最初から詩には面白さを期待なんかしてないから、これはこれでいいんだ。

3:20 01/04/17

着物

しかーし、いい陽気。

もう、ぽっかぽっかでまいっちゃうわ。
こんなんだったらもう袷の着物はしまわなくっちゃ。

……と日記には書いておこう。(古い!)

一昨年の目標は英会話。
去年の目標は減量(継続中)。
今年は着付け。

一応ね。
なんとかあの平たい布をこの丸いカラダに巻きつけることは出来るようになった。

次の課題は帯をお太鼓にカッコよくさささっと結べるようになること。
当面、半幅帯のぐるぐる巻きでしのぐ。

この1ヶ月の間で4度目の着物でのおでかけ。
そもそもの動機づけとなった日は朝から雨模様で着ることがかなわず、次回への繰越課題となったのであるが……。

花見の晩と同じウールの普段着。
柄物の半襟が、着なれた雰囲気を演出してくれるのだな。

実際のところは着なれてなんぞおりゃあせんのだが……。

なんてたって着物を着るのは自縛の極致。

腰紐だけで、1,2,3……。
あと伊達帯2本。
帯板。帯締め。帯揚げ。
そして帯。

わーお。9本でぐるぐる。

うっとりー。

思えば緊縛用のロープのことなど何にも知らなくってデパートで買った新しい腰紐を5本かばんに入れて「奴隷」デビューしたのだった。

がは……。
それが今では、骨の髄までM女発言とかするしさ。

いいんでないかい。

1:36 01/04/15

四月になれば、あたしは……

丘のうえから見おろすと、ぼんやりと黄色いかすみの彼方に街が見える。

黄砂のせいだ。

うらうらと気温も上がって来て、花も次から次へ順ぐりにいろんな種類の花が咲く。

「うらうらと」ねえ……。やかもち、イってみる?

うらうらと照れる春日にひばりあがりこころかなしもひとりしおもへば  大伴家持

黄砂を季語では「つちふる」などともいう。
好きな季語の一つだ。

この慌ただしい季節を、あたしはどうやって乗り切ろう。

やんなきゃいけないことが山ほどあって、夜中もチャットどころではなくて、それが逆にこころがざわざわしなくてすんでうれしい。

がんばって仕事しよ。
なんて少しは殊勝に思うのよ。

つちふる日制服の匂い嗅いでみる

はさみ砥ぐあなたの家の花水木

14:08 01/04/14

夜桜

お花見会をした。

メンバーは全員いつもながらのご近所SMサイトの常連ばかり。
13人いた! 

こんなに近所に変態仲間がいていいんか?

そこはそれ。みんな常識的な社会人なので、フツーに「お花見」。
ひょっと知りあいに会ったとしても「この人たちと、どういうお知りあい?」なんてゼッタイ聞かれることはなかろうて。

まず常任幹事であるあたしは、お昼過ぎに場所とりに出かけた。

公園の駐車場はどこも満車。少し離れた駐車場にくるまをとめ職場で借りた工事現場用のブルーシートをまず運んで場所を確保。

さらにシートにじかに座るのは寒くてたまらんから実家にあったこたつ敷きとアクリルボアシーツと乾き物のおつまみを置いておく。
おつまみの入った袋は中身を隠しておかないとね。

二往復するとさすがに頑張った気がする。

うちの公園は昼間の人出も多いが、メインは夜桜。

日が暮れて、自宅に冷やしておいたビールを積み込む。

子どものころに作ってもらったウールの普段着の着物に博多織の半幅を簡単に巻き付け、帯締めはこないだ買った渋い色目のものをきゅっと……。
ささっと母親が結婚前から着ていたという黒い羽織をしょって、いざ出発。

みんなニコニコで、いい花見でしたさ。

10:08 01/04/06



[diary's index] [back] [next] [today]